第3章 加工
3.1 加工作業の概要
3.1.1 加工作業の船殻工事における位置
加工作業は、ブロック建造法を取る船殻作業にあっては、開始時点に位置し、現図作業のあと、実際に鋼材を、切ったり、曲げたりする作業をいう。通常、罫書作業から、組立作業へ渡すまでのものを加工作業としている。
加工作業は、ブロック建造法として、ステージ別の管理が、完全に分離しているときは、全体に占める工数の比率は、そう高いものではない。ある例においては、全船殻工事の15%位である。この工数比率だけに着目すれば、船体のコストを改善するためには、余り重視しなくてもよいステージではないか、ということになるが、これは大きなまちがいであって、すべての部材が、加工によってなされるのであるから、このステージでの製品の精度が、後続工程に及ぼす影響は極めて大である。また、船殻の部材の数というのは非常に莫大なものであり、その多くの部材が、小組立、組立、と進むにつれて、段々組み合わされて、取り扱い部材点数は少なくなり、遂には船台上で一つの船体となるのである。従って、数の多いものは整理しにくいという例から考えると加工ステージで、部材をうまく整理して、後の工程に、順調に引き渡して行くということが、全体の工事の流れを円滑にすることである。
3.1.2 加工作業における職種
加工作業に冷ける基本的な職種は下記の3種てある。
○ 罫書作業職
○ 切断作業職
○ 曲げ作業職
3.1.3 加工作業の今後の方向
昔は、船台の取付職が、罫書作業をもやっていたが、それは、船台における取合状況から考えて、伸ばしをつけたり、或いは、取付作業の手順を考えて、部材を作ったりするのに便利であるためであった。ところが、工事量が増加するのに従い、船台の取付工は、船台に、罫書作業は、専門の罫書工が罫書場にそれぞれ固定していた方が能率があがるということになり、その間の、作業順序だとか、加工要領は、別個の管理者、監督者が、全体の生産管理の立場から、統率するという形がとられるようになった。ここにおいて、日程表、カッティングプラン(部材取合図及び、伸ばし量指示)等の考え方が入ってきた。また、切断においては、現在はガス切断の時代であるが、通常500mm/mm前後の切断速度に対して、より高速のガス切断であるとか、プラズマ・ジェットを利用する高速切断等が検討されはじめている。曲げにおいて、昔の、丸焼きの叩き曲げから、線状加熱の手法が広く取り入れられ、最近はまた、強力な油圧を主としたプレス作業がより高度に研究されている時代である。