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4.5. 各セーリング状態において、セール写真(必要に応じてビデオ)を撮影

 

4.6. 実験終了後、データ処理解析、セール写真解析、報告書作成

 

5. 実艇の性能確認について

5.1. 実験値について

1) 実験から得られた性能上の数値は別紙グラフとしてプロットした。

2) スピードの補正値は0.96、風向計のゼロ点のズレは5.5度ないし7.5度とした。風向計のズレがあるのは、風向、風速が、高さ方向に変化しているため(ウインド・シアーという)であり、しかもその程度は時間によっても変わる。ヨットの実験においては、これらウインド・シアーを確実に数値化することは困難なため、データに妥当性、整合性があるように補正値を入れることが常識化している。実験日は晴天で風がなく、特にウインド・シアーが大きいようであった。

3) 今回の実験においては、風速は最大でも10ノットどまりであり、本艇が快適に走れる風域よりは平均的に低く、またセール開発時に作成し運用したVPP(毒度予測プログラム)の適用範囲外であった(報告書にて既報。後述)が、それでもIMS VPP(国際的に使われているヨットのVPP)により、性能評価は可能である。ただし、風速6ノット以下の性能を云々してもあまり意味がなく、またいずれのVPPにしても信頼度が低いことから、最低、風速8ノットからの評価とする。

4) 視風速AWS、視風向AWA、船速BSから真風速TWS、真風向TWAを算出するに当たり、リーウェイ角の推定も行い、計算に入れてみたが、性能の確認に大きな影響を及ぼさないことがわかったので、最終的には省略している。

 

5.2. アップウインド

1) 別紙の4枚のグラフを検討し、定められた風速における実艇の性能を推定した。手順は以下の通りである。

1] 真風速TWSと有効風速VMGのグラフを元に、似たような風速でもVMGが最も大きくなる帆走データをスムースにつなぐような、包絡線(曲線)を設定する。さまざまな風速と角度で帆走しているが、性能的に重要なのはVMGであるので、このような包絡線が実艇の性能を表すと考えてよい。

2] 包絡線上における、定められた風速での最大VMGを推定。

3] 定められた風速と包絡線上に近い帆走データから、真風向、ヒール角等の帆走状態を推定。

2) 上記の結果、風速8ノットにおける帆走状態は以下の通りと推定した。IMS VPPの計算結果も付記する。

 

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