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デッキについては、旧来のヨットに比べおうとつ物も少なくヒール10度程度までは、腕での移動も容易であり、ストッパー、クリートの位置、ハンド・フットレール、も概ね利用しての動作が可能との意見を受け、身体障害者には好評であった。

 

3. エレベーター部分の性能試験

もっとも身体障害者が期待していた装置、それがキャビンへの移動をかなえるエレベーター。

まず、その乗降については、前席の椅子からの移動に若干のぎこちなさが見えるが、移動ができることを確認した。

エレベーターの作動性能は、体重60キロ〜85キロの方々で試したが、エレベーターの下降について、初期やや急に下降するがなれればスムーズで問題が出なかった。上昇についてレバーの前後操作が20〜30回と多すぎる。またレバーが重いとの指摘があった。しかし、基本的に操作ができないとの声はなくキャビンへの上下にエレベーターの設置が有効であることを実証した。

ヒール時、下降自体では25度程度まで影響はないが、上昇について下肢麻痺者ではヒール15度あたりから下肢が風下側に片寄り椅子中心の油圧レバーに片方の足があたり操作に支障が出た。この点は改造が是非必要である。

エレベータについては、当初目的通り有効な手段である事を実証したが、慣れればスムーズになるのか、障害の程度によりどこまでできるか等々、さらに多くの身体障害者の体験を踏まえ再度開発が必要だろう。

 

4. 椅子の検証

風下から風上への移動を楽にする。この目的のために設置した椅子は大好評であった。一番心配された左右への移動では20度程度のヒールでは、作業が相当きつくなり出来ない人もでた。これは移動ロープの取り方、ブロックの数等によりより軽くすることが望ましい。

重量を軽くするために採用したチタンの溶接に問題が発生し2脚とも背もたれが取れたが再溶接により問題解消。ほかに、座面後部が平らなため各自のマット・シートが後ろにはずれてしまう。身体のよりよい安定のためシートベルトが欲しい。足乗せ幅を大きく。等の意見が有ったが、どれも改造ができるもので、ヒール角度25度以上でも安全に身体を支えることを確認し、左右への移動をふくめ計画された椅子の構造機構は必要にして十分なものであることを実証した。

 

5. その他身体障害者用機器の動作確認試験。

身体障害者の腕の長さに合わせたロッカーは、どこでも取り出せ使いやすいは、やや小さく、アンカー、フェンダー等の収納を考慮すれば大きな物入れが欲しい。

トイレは、中心線上にあり左右どちらのヒールでもハンドレールより身体を支えることは可能あったが、ヒールが大きいときはそれ以上の作業は困難であった。よって座って次の動作に移るのに身体を支える何らかの補助装置が必要となる。

 

 

 

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