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IV.II 試作艇の性能試験

 

IV.II.I 身体障害者関係装置の性能試験

 

1. 実施目的

完成した試作艇を使用して、身体障害者及び開発者によりヨットの操船や各機器の使い勝手を試し、当初の機器機能を確認をおこない、よりよいヨットにすることを目的とし身体障害者関係装置の性能試験を実施した。

 実施時期 平成13年2月1日〜2月26日

 実施者 特定非営利ヨットエイドジャパン

  脊椎損傷で下肢麻痺2名、脊椎炎にて下肢麻痺1名。小児麻痺による肢体不自由1名。

  ヨット経験のある健常者。

 実施方法 操船者によりヨットを乗船・帆走させ。各機器類について身体障害者及び健常者が操作を行い、意見や印象を聞き取る方法で実施した。

 試験状況 静止時〜25度程度のヒール時。

 

2. デッキ艤装品の身体障害者による動作確認

このヨットのデッキ艤装品で最大のものはハンドルである。座って膝に当たらず左右移動にマッチすることで導入された小口径の油圧ハンドルについては、実寸モデルで検討した事項が盛り込まれ、その高さ位置とも良好であるとのコメントを受けた。

また身体障害者がマスト付近での作業ができるようにマストスタンションを設置したがこれについても、身体をホールドするので作業が出来るとの意見を聴取したが、左右のマスト都との幅が狭く大きな身体障害者には、窮屈であるとの声もあり、設置自体は大変有効であるが形状について多くの意見を聞くべきとの結論を得た。

ウインチの配置・シート・セール類については、建造チームと本ヨットの基本コンセプトの打ち合わせがなされておらず、改造の余地が見受けられた。まず、後ろのウインチの位置は、デッキ中央に設置され身体障害者が上肢のみで移動するのに困難となり中心側に移動すべきであろう。また、バックステーについては、旧来のヨットと同じ位置でにあり、椅子が設置されているため誠に具合が悪い。椅子をよけて左右で引けるようにすぐ改める必要がある。さらにマスト基部でも身体障害者が作業出来るようブームを下げたが、セールのリーフポイントの穴がフックにかからないので安全上の問題からすぐに何らかの処置をすべきであろう。

追加の工事となるのは、ジブシートが前のウインチで引けないのでチークブロック等を設置する必要がある。今回、脊髄損傷の重度に方には、ヒールした風下での作業がしにくいとの指摘があり、この追加工事で風上側でもウインチ作業が出来るようになることが望まれる。

 

 

 

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