3.4. 「パラフィン製甲板マスターモデル」及び「FRP製甲板成形用型」の製作
1] 「パラフィン製甲板マスターモデル」の試作開発
基本的な作成要領は、2−3で示したパラフィン製船体のマスターモデルと同様な方法で製作した。但し、甲板部の大部分はパラフィン素材を用いてNC切削加工により製作したが、NC加工が難しいキャビン区画は木材を用いて手作業により製作した。「パラフィン製甲板マスターモデル」の製作精度は、三次元測定機の測定結果から許容範囲内の値であった。若干船体部より精度が悪くなっている理由は、表面積が大きく十分な補強が難しく幅方向のタレによる変形が大きく出たものと考える。
2] 「FRP製甲板成形用型」の製作
甲板部のFRP成形用型の製作は、船体部製作時の問題点を踏まえ、パラフィン表面に塗布出来る離型剤(ボンリース)を塗ってからFRP積層作業を実施した。基本的な製作方法及びFRP材料,積層要領は船体部と同じである。脱型作業もスムーズに行き、FRP表面にパラフィン付着も見られず作業は問題無く終了した。
3.5. ヨット附加物の製作
今回のヨット附加物として、バラストキール、舵、ハッチ、ベンチ、キャビン戸袋甲板椅子、エレベータ座の7品の型を製作した。バラストキール(鋳物型)、舵(マスターモデル)の型に用いる素材は端部処理・製作精度等を考慮して高分子材料であるモデルブロックを用いた。製作は全てNCにより行った。精度・変形等の問題無く出来ているが、バラストキールの鋳物型としては重量が重く軽量対策が必要であった。Page38〜39にバラストキール及び舵の型を示す。
ハッチ、ベンチ等残り5品は、木製の手作りで製作した。その内ベンチ及びエレベ−タ座は、脱型時の抜き勾配が足りず問題があった。又キャビン戸袋も寸法違いがあり問題があった。
3.6. 製作日程
各作業の製作日程をPage40に示すが、実際の作業開始は一部図面変更等により大幅に遅れ8月中旬から開始し、ヨット建造メーカーに全ての型を搬入出来たのは11月16日であった。