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パラフィン鋳造前の工程として、板張りした面に合板(t=5mm)を前面に張り、更にパラフィンの接着性を高めるためにリブ材を適当に張る。同時にパラフィンが内面に漏れないように継ぎ目をテープで止める。Page23に完成した状態を示す。この状態で内型が完成した。次の工程は、パラフィンを鋳造するために鋳造槽に予め外板フレームを立てる必要がある。Page24〜25にその状態を示す。鋳造槽に外板フレームを立てた状態の全体をPage26に示す。以上で、内型及び外型が完了し、鋳造槽に全ての型セットしパラフィンの鋳造作業に入る。Page27は全ての型を鋳造槽にセットした状態を示している。予めパラフィン溶解槽で溶かしたパラフィンをPage27で示した鋳造槽に注入する。Page28は、溶解槽からのパラフィン注入状態を示している。Page29は完全にパラフィンが注入した状態を示している。パラフィンが完全硬化した後、鋳造槽からパラフィン製マスターモデルを搬出し三次元NC削成機にセットする。Page30に搬出中の状態を示している。最終工程は、三次元NC削成機の中にセットされたパラフィン製マスターモデルの表面をNC切削加工し、全てNC切削加工完了後パラフィン表面を滑面仕上げしてパラフィンマスターモデルの製作が完了した。Page31にNC切削中の状態を、Page32に完成した状態を示す。

完成したパラフィン製マスターモデルの製作精度の確認は、大型の三次元測定機により、マスターモデルの寸法測定を行って、線図フェアリング後のオフセットデータとの比較により精度確認を行った。測定結果の比較結果をPage16〜17に示すが、その結果は全て許容範囲内の値であった。

2] 「FRP製船体成形用型」の製作

パラフィン製マスターモデルを用いて、ヨット船体建造用のFRP製成形用型を製作した。最初にマスターモデルのパラフィン表面に離型剤を塗布しない状態で、ゲルコート(黒色)塗装をガン吹きした。Page33にその状態を示す。つぎに船体表面にFRP積層作業を行い積層作業完了後補強用のパイプで前面補強して成形用型の製作が完了した。

最後の製作工程はパラフィン製マスターモデルからの脱型作業であるが、比較的スムーズに脱型作業が完了した。引続いてFRP成形用型の内面の研磨作業であるが、脱型したFRP表面にパラフィンの薄い膜が付着した箇所が発生した。当初の研磨作業は#800番ペーパー研磨で十分と判断していたが、先に述べたパラフィン付着及びゲルコート塗布時のダストによるザラ付きを取り除くために#1000番ペーパー仕上げとしたが、結果は一部表面に光沢不足が生じた。Page37に研磨作業時の状態を示す。

今後の課題として、パラフィン表面に塗布する最適離型剤の検討、ゲルコート塗装時の環境、ゲルコートの塗布厚み、研磨作業要領等、高品質の仕上げ管理がヨット成形用型には必要である事が判明した。今回製作したFRP製成形用型に用いた各種材料の詳細を下記に示す。

 

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