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4. 開発成果と課題

平成12年度「身体障害者用ヨットの開発」事業の委託業務として「ヨット成形用型の製作」を担当し、幾つかの開発成果と課題があった。今回ヨット建造の業界にとって初めて、リサイクル素材であるパラフィン材料を用いたマスターモデル型をNC切削加工法により製作したが、大きなトラブルも無く新しい成形用型の製作方法の確立が出来た。以下に開発成果と今後の問題課題について示す。

 

4.1. 開発成果

1] 船舶用向け線図作成システムの「TRIBONシステム」は、ヨットの線図フェアリングツールとして使用出来る事が確認出来た。又、NC切削加工データの作成システムである「NASDシステム」も問題な無くヨット船体及び甲板形状のNC加工データの作成が出来た。

2] パラフィン製マスターモデルのNC切削加工も、今回試作開発したサイズのヨット(全長8m×幅2.75m×高さ1.4m)であれば、船体部は一体成形型としてNC切削加工が出来る事が確認出来た。幅寸法の仕上り精度は約±2mm程度と測定され、パラフィン製模型船と同等精度の精度許容範囲であった。甲板部についても問題無くパラフィン製マスターモデルが製作出来た。

3] パラフィン製マスターモデルの鏡面仕上げは、今回下地処理無しで行ったが、後工程のFRP積層作業時の離型剤処理を十分行えば、問題の無い事が甲板部のFRP積層作業で確認出来た。

 

4.2. 今後の課題

1] 船体部のパラフィン製マスターモデルの離型時処理が上手くいかなかった為、ゲルコート表面にパラフィン付着が確認された。鏡面仕上げとする為にペーパー研磨を行ったが、ゲルコート塗布厚み不足及び日程不足により鏡面仕上り状態に問題があった。甲板部ではパラフィン付着が問題は無かったが仕上げ研磨時間が足りなかった。

2] 附加物の一部に型の抜き勾配不足により脱型が出来なかった。事前の製作図面の確認不足であった。

 

5. 工程

作業工程は別表のとおりであった。

 

以上の様に、今回の試作開発では全てを十分に検討する時間が取れず幾つかの検討課題が残った。尚、本開発の期間中、設計図面の解らない点等、林委員には色々とご指導頂いたのと、坪井ヨット委員におかれてはFRP船体建造の際に大変苦労された点をお詫び致します。

 

 

 

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