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4. 成形型用の材料としてセラミックス材の予備調査

4.1. 型材料の開発の意義

一般に水槽試験に使われる模型の材料はパラフィンか発泡ウレタンをFRPコーティングしたものである。これらは熱や環境の変化に弱くFRP成形用の型材としては欠点がある。又、木製メス型やFRPメス型にも欠点がある。その欠点を補い、将来はFRP成形型の材料となるものを選択し、製作方法を開発することは意義がある。

1) 型の材料としての条件は次の項目である。

 *NC切削機で研削が可能な材料で接着修復が可能なもの。

 *熱や気温の変化に対し寸法精度が維持できるもの。

 *移動や輸送に対して軽量で強度を維持できるもの。

 *環境汚染や高価なものでない事。

 *FRPのアフターキュアー等の高温に耐えられるもの。

 *表面仕上げ精度が良好なもの。

2) 調査対象としてキャスタブルセラミックスがある。適性を検証する為に次の項目を検討する必要がある。

 *材料のコスト、及び物性の改良が可能か?

 *表面の仕上げ加工(塗装や磨き)が可能か?

 *強度的な物性、耐久性

 

4.2. 成形型用材料としてのセラミックスの問題点

調査及び試験の段階で次の問題点が浮上し、解決の為の時間が無い事が判明した。

1) 曲げ強度が0.8kgf/mm、曲げ弾性率が200kgf/mmと弱い事と、膨張率が0.0005、伸縮性が無い事で、曲げや撓みに対して簡単に割れる為、形状維持の型枠が相当丈夫なものが必要となり、重量的に扱いが難しい。(舵やハッチ、部品などの小物の成形は使用可能)

2) 大型の成形型となった場合の表面処理の耐久性や補修技術の開発に対しては、時間的制約があって研究開発の見通しが立たない。

3) ワンブロックの切削では問題がないと解ったが、船体はブロックを積上げ、接着で対応しなければならない。切削用バイトの切削速度と接着剤の物性で使えるものを調査する時間がない。接着部に隙間があり、端部が割れ、接着剤が剥離する。

4) 材料価格が立方メーター単価で48万円である。型の開発費では購入できない状況にある。

5) 使用実績と工作方法の経験者の感想として、未だ開発の段階で完成した技術とはなっていない為、時間を掛けて試行錯誤する必要があるとアドバイスを得た。

6) ワンブロックのNC切削では、舵、バラストキール、ハッチカバー、等の小物類は充分対応できると思われる。

 

 

 

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