日本財団 図書館


III. 身体障害者用ヨットの成形用型の開発

 

III.I. 成形用型の材料の予備調査 (3次元NCデータの変換ソフト)

 

1. 目的

FRP船の成形に用いられる型は、一般的に単品生産の場合は木製メス型やカゴ型(サンドイッチ工法)、量産型の場合はFRP製メス型を使用している。それぞれの型には材料や工作上の長所と短所があり、それを改善した汎用性のある成形型を開発する事を目的し、成形型用の材料の予備調査を行う。

<成形型に対する要求事項>

1) 熟練した技術者(船大工)が高齢になり、木造現図・木型製作などの作業者が少なくなった。従って、それに変わる製作方法である事。

2) 加工性が良く、環境の変化に対して安定した寸法精度が維持できる材料。

3) 輸送、保管、長期間使用などの強度の問題や、補修・修理が可能で環境汚染が少ないなどの条件を満たす材料。

4) 型の製作工程(現図、フレーム型取り、組立、板張り、塗装)を機械化する。

5) 現在ある設備を活用し、高精度の成形型を製作する。

 

2. 要求事項の整理

熟練技術者に代わって製図製作や現図がコンピュータ化した現在、FRP船の成形型もその延長で機械化する事が可能と思われる。大手造船所が行っている水槽試験用の模型製作は、NC加工機によって加工精度の向上と製作期間の短縮が実現した。その製作方法を応用する事でFRP成形型の製作方法を考案する。

1) NC切削方式を3次元加工データで表面の加工精度を上げる。

2) FRP成形用型の材料はNC切削が可能で、直接FRPが成形できる物性とする。

 

3. 3次元NC切削方式の開発

一般的に書かれている船型ソフトのキャドデータから「線図及び船体寸法表」の数値データに変換する。数値データから加工面に鉛直の3次元NCデータに変換する。

加工面に対し切削機が鉛直に作動する事で、複雑な局面にも柔軟に対応できる機能を持つ事が出来る。又、切削面の仕上げ精度が格段に向上し、仕上げ作業工数が大幅に削減されるものと思われる。変換ソフトの作業内容は次の要領による。

1) 船型ソフトのキャドデータから「線図及び船体寸法表」の数値フェアリングデータに変換する。

2) 線図フェアリングデータをオーディネート方向に割込む。

3) 割込みデータを3次元データに変換する。

4) 3次元データからカッターローテーション(工具中心位置)データに変換する。

5) カッターローテーション・データからNC切削データ及びカッターパス(工具軌跡)データを作成する。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION