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多くの実績を持つIMS VPPを利用して、本VPPのバリデーションとチューニングを行った。その手順は以下の通りである。

ダウンウインドについて通常のスピンネーカーを展開する場合の計算を行い、各TWS(真風速)で同一のTWA(真風向)において、艇速がおおよそ合うようにハル抵抗を最小限に修正。

アップウインドを計算し、艇速の違いを検討してヒールの影響と、キールラダー実効アスペクト比を微調整。

ヒール角の違いから、セール横力によるヒールレバー距離を微調整。

 

以上のパラメータを以下に示すが、結果的に修正量はわずかで、各セールの係数、パラメータとも疑問が残るような値に修正する必要は全くなかった。

またFig.10-13にIMS VPP計算結果との比較を示す。本VPPでは、アップウインドの最適状態では艇速BSとその風上方向への射影成分VMGが小さく、および真風向TWAが大きめに計算される傾向がある。これはマストやリグの風圧抵抗が実艇と比べ相対的に大きいこと、またレイノルズ数の違いによる寸法効果によるものと思われるが、セーリングのエキスパート数名に意見を聞いたところ、IMS VPPよりも妥当な値が出ているとの感想もあった。

また、ヒール角については、風速が低いと小さく、高いと大きく計算されるが、これはセール流体力のモデルが単一であることによる。実艇では、風速が変わった場合にセールトリムを微妙に変化させることを行うが、実用に供するIMS VPPでは、フラットニングといってセール形状を浅くして風を逃がすトリム操作を数値化して取り入れており、その影響が出ているものと思われる。

いずれにせよ、本VPPで相対比較には問題なく使えると判断した。

 排水量 2500kg

 GM値 1.2m

 水面下側面積 2.0m^2

 迎角1ラジアンあたりのキールラダー揚力係数 3.0

 キールラダー実効アスペクト比 1.6m

 セール横力によるヒールレバー距離 5.0m

 

028-1.gif

Fig.13 VPP計算結果の比較

 

 

 

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