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NPO法人への建設費補助決定

呆け老人をかかえる家族の会代表理事の高見国生さんは、「グループホームだけが痴呆高齢者の受け皿ではない」と前置きした上で、「多い少ないは別として、家族の会としては計画(3200か所の設置)を必ずやり遂げてほしい」と要望する。

昨年末、旧厚生省は2001年度からNPO法人が設置する痴呆高齢者向けグループホームに対しても、施設の建設費に補助金(建設費の半額、2000万円が上限)を出すことを決定した。従来は、自治体や社会福祉法人、医療法人が設置するグループホームにしか認められなかったもので、3200か所という当面の目標を達成するための方策といえる。

 

質の向上に向けた各種施策

この決定について高見さんは、「大いに歓迎する」と語るが、一方で「今後は質が問題になる。家庭的な環境がグループホームの売りだが、外部の目が届かない密室になる可能性かある」と、その危険性を指摘する。

厚生労働省では、グループホームの質的な向上を目的として、2002年度から施設に対する第三者評価を義務づける。さらに新たな施設の立地については、原則として住宅地や商業地といったコミュニティー内でしか建設を認めないことを決定している。

 

経済的な格差が課題に

このように、痴呆高齢者グループホームの基盤整備は着実に進んでいる。しかし、手付かずの課題もある。その一つが介護報酬だ。痴呆高齢者向けグループホームは、特別養護老人ホーム(施設介護)と同じ高齢者の生活の場だが、介護保険では在宅介護として扱われているため介護報酬は低い。さらに家賃(10万円前後)という施設介護にはない負担もある。いくら施設が増えたとしても、一方で経済的な理由から入居を断念せざるを得ない高齢者がいたのでは制度的に問題である。より良い介護保険に向けてまだまだ論議が必要のようだ。

 

 

 

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