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介護保険はどう動く?

市民の自治を推進する介護保険

利用者の声を代弁するオンブズマンの役割重要に

 

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関西学院大学経済学部教授

大谷強(おおたにつとむ)さん

1943年広島市生まれ。72年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了、76年大阪府立社会事業短期大学専任講師、81年大阪府立大学社会福祉学部に改組・助教授に、91年4月川崎医療福祉大学教授に就任、96年4月関西学院大学経済学部教授に就任、現在に至る。大阪府総合福祉協会理事、大阪地方自治研究センター理事長、介護の社会化を進める1万人市民委員会関西運営委員、NPO介護保険市民オンブズマン機構大阪運営委員などを務める。主な著書に『自治と当事者主体の社会サービス』(現代書館)、『介護保険法を私はこう読む』(大阪市政調査会・ブックレット)など。

 

紆余曲折を経て、昨年四月にようやく産声を上げた介護保険。その成果を研究者の立場で見守り、よりよい介護保険に向けて各種研究会やセミナー、マスコミの場で持論を展開してきた関西学院大学径済学部の大谷強教授(担当料目は社会保障論)。氏に、この一年を振り返ってもらい、介護保険に対する全般的な評価と、今後取り組むべき課題について聞いた。

(聞き手・高山歩)

 

強い事業者の不満

 

介護保険が始まっておよそ一年が経ちました。ご感想は?

 

厚生省(当時)が「走りながら考える」といってスタートさせた介護保険ですが、比較的うまくいっているのではないでしょうか。各自治体が昨年の夏ごろに実施したアンケートによると、制度全体に対して八割くらいの人が「満足」と回答しました。また、厚生省は要介護認定の苦情について審査会をつくりましたが、二%くらい苦情が出ると予想したところ、実際には○・一二%しかありませんでした。

 

 

 

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