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こうした未来予測に先手を打つように、昨年四月一日、茅野市は大幅な機構改革を断行した。市内を四つの地域(エリア)に区分し、それぞれに保健福祉サービスセンターを開設して、これまで市役所で行っていた保健、医療、福祉に関する窓口業務を移した。東部、西部、中部、北部の各保健福祉サービスセンターと、四エリアを後方支援する基幹保健福祉サービスセンターがそれである。この五つの施設に市の職員四一人を移し、すべての窓口業務をセンターで対応する。サービスの決定権をセンター長(課長職)に委ね、これによって福祉の相談からケアプランの作成、サービスの提供までが短時間で行えるようになった。

各サービスセンターの主な機能は、1]二四時間体制での総合的な相談業務、2]ケアマネジメントの実施、3]ホームヘルプサービスやデイサービスなど公的サービスの提供、4]インフォーマルサービスの支援とコーディネート、5]健康診断、保健活動の拠点―など。高齢者に限らず障害がある人や子育ても対象とするが、スタートからのこの一年の活動の八割は高齢者介護にかかわるものだった。

 

地域福祉推進員がケアマネジメント

 

四つの地域で総合的なサービスを行うエリア構想を進めるにあたって、市はきめ細かい保健福祉サービスを提供するために、茅野市民の生活圏を五つの階層に区分けした(次頁図参照)。一層が茅野市、諏訪市、岡谷市、原村など三市二町一村から成る諏訪広域、二層が茅野市全域、そして三層が新たに設定した保健福祉サービス地域(エリア)、四層が一〇の区分から成る地区、五層が自治会や公民館分館などの行政区である。五層や四層では住民が互いに見守りや声かけなどで日常的に支え合い、三層からはより専門的なサービスが受けられるというのが「生活圏の五つの階層」の考え方だ。

そして、市内をいくつのエリアに区分するかについては、人口比、社会福祉サービスの利用者の比、交通経路、病院や診療所の数、既存の社会福祉施設などさまざまな角度から検討を繰り返し、人口約一万五〇〇〇人を一つの単位とする(北部のみ七〇〇〇人規模)四つエリアに区分することとした。

 

 

 

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