選挙運動を通じて高齢者問題に目覚めた
「サポートぱんぷきん」は、東京都大田区大森西で近隣に住む高齢者・障害者への弁当宅配を目的に一九九五年一二月に活動を開始。若い頃から、産直運動や共同保育などのさまざまな市民運動にかかわってきた石川さんは、同年四月に区議選に出馬。残念ながら落選はしたものの、後援してくれた姉ら三人と、何か福祉に関することをやろうと意気投合したことがきっかけだという。
「それまでは、どちらかというと高齢者福祉よりも環境や子育てなどに目が向きがちでしたが、選挙運動を通じて地域の中に入ったことで、高齢者問題の厳しい現実を見せつけられましてね。特にこの辺りは一人暮らしのお年寄りが多く、しかも行政の手がきちんと届いておらずに、困っている人が少なからずいた。それで、地域の人たちの自然な助け合いで安心して暮らし続ける街を育みたいと、知り合いの在宅支援サービス団体を見学するなどして、以前から温めていた弁当作りの構想を実現することにしたんです」
こうして、区内のマンションの一室を借りて弁当作りと宅配を開始。当初は週二回の夕食の配達から始めたが、福祉事務所や区のヘルパーなどが口コミで紹介をしてくれたお陰で、一気に会員が増加。翌年の秋には、月曜〜金曜日までの週五回に増やしたという。
「とはいえ、最初の一年間は活動の骨格を作り出すために試行錯誤の連続でした。事務所から遠い地域の注文にも応えるために車持ち込みの協力会員を探したり、調理チームのローテーション作りに頭を悩ませたり…。