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ただ、一番の課題だった運営資金のほうは、東京都の地域福祉振興財団からの運営費助成を受けられるようになったため、一年の見通しを立てて活動できるようになったのが幸いでした」

また、お弁当の宅配のために毎日利用者のお宅に顔を出しているうちに、通院のための車での送迎をしてほしい、買物を手伝ってほしいなど、ちょっとしたサポートを頼まれることが多くなったため、その後、家事援助や移送のサービスなども開始。

「会員の相互扶助の枠内で、利用者のニーズにできる限り応えたいと思って始めた活動ですから、生活のサポートをすることはごく自然な流れだったように思います。これまでにかかわったケースの中には、末期がん患者の介護や脊椎損傷による障害を抱えた方の介助などもありましたが、とにかくどんなに困難な依頼に対しても正面から向き合い、そして、私たちの能力を知ってもらった上で、できる範囲でのかかわりを受け入れてもらうという姿勢を貫いてきました」

こうした柔軟な対応によって活動の幅は徐々に広がり、現在では会員数も一六〇名となり、お弁当宅配数は一日平均四〇〜五〇食、家事援助一三時間、移送四件と、着実な歩みを見せている。また、一九九九年の一〇月にはNPO法人格も取得し、二〇〇〇年五月からは介護保険事業にも参入した。

「法人化を巡っては“事務仕事が増える”“税金を払うのは損だ”“法人になっても補助金は増えない”などの反対意見も多かった。でも知り合いの団体で、ワンマン代表が倒れた後、運営に苦労したという話も聞いていたため、事業の継続性を持たせるためにも、私としてはどうしても法人格を取得したかったのです。NPO法人になったからといって事業内容が大きく変わることはありませんでしたが、理事会や事務局会議を定例化するなど、組織としての意識も高まり、これまでに比べて活動基盤がしっかりしたように思います。

 

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家事援助は利用者のニーズに応える形で始まった。

 

 

 

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