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「お骨は墓まで一人で歩いてはいけない」と、自分の死後の諸々の事務処理を引き受けてくれるシステムができないものか、と松島さんに訴えた。そうした声に応えて、生前に死後の設計ができる仕組みとして生まれたのがLiSSシステムなのである。

 

死後事務と生前サービス業務

 

一九九三年のLiSSシステム開始時から数年は、死後の事務処理に専念してきたが、Mさんのように死に至る前段階でのサポートを求める声の高まりと共に、生前契約のメニューも拡大してきた。現在の生前契約は死後事務と生前サービス業務の二本立てで構成されている。現在LiSSシステムの契約者数は延べ三七〇人で、これまでに五二人を看取った。サービスの概要を説明しよう。

 

【死後事務】(葬儀の主宰などを含む)

・葬儀内容の企画や契約

・死亡届から健康保険、年金の手続きまで

・納骨や墓地管理代行

・仏壇等祭祀財産の処理

・家の片付け、不用品の処分、家の返還

・ペットの処遇

【生前サービス業務】

・保証、身元引き受け(老人ホーム、病院、賃貸住宅など)

・日常の生活支援(買物、話し相手など)

・療養看護(入院手続き、入退院サポート、介護保険サービスなどの点検)

・賃貸住宅などの不動産の管理

・老人ホーム入所などのサポート

 

生前契約の原則は、依頼者が自分自身のために、意識が清明で判断能力がある間に、自分の意思で委託する内容を決定しておくことである。そして、契約内容を履行してもらうために必要な原資として、預貯金や生命保険契約などを準備した上で、遺言公正証書を作成しておく。

 

 

 

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