痴呆とリハビリへの理解が大事
介護保険ではサービス事業者を選ぶのは利用者です。同じように、お医者さんも患者から選ばれる立場ですか?
その通りです。選ばれる「かかりつけ医」でありたいですね。介護保険の主治医としては、これからは痴呆に対する理解とリハビリの重要性を認識することがますます求められています。先日大阪で、痴呆の親が「うちに帰りたい」と言うのに腹を立てた息子が、親を殴り殺したという事件がありましたね。私も痴呆の母と一緒に暮らしているのでよくわかるんですが、「うちに帰りたい」と言うのは自分がどこにいるのかわからなくて不安でいっぱいのサインなんです。何も世話をしてくれている家族に不満があるわけじゃない。そこのところをかかりつけ医がうまくリードして家族に理解してもらい、痴呆のお年寄りを温かく見守る、あるいは痴呆の最初のサインを見逃さずに早く専門医に橋渡しする、そういう役割はますます必要になってくるでしょう。
介護保険を申請するのは、何らかの障害があって日常生活に介護が必要な人です。そして介護認定を受けたすべての人にそれぞれ主治医がいるわけで、このことがすばらしい。住み慣れた自宅で最後まで暮らすために、身近にいる地域の医者の役割をはっきりと示した点でも介護保険は意義があると思います。
あなたが「からだの責任者」 医者にかかる10箇条
1] 伝えたいことはメモして準備
2] 対話の始まりはあいさつから
3] よりよい関係づくりはあなたにも責任が
4] 自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報
5] これからの見通しを聞きましょう
6] その後の変化も伝える努力を
7] 大事なことはメモを取って確認
8] 納得できないときは何度でも質問を
9] 治療効果を上げるためにお互いに理解が必要
10] よく相談して治療方法を決めましょう
※ 東京都医師会作成の『賢い患者さんのお医者さん選び』より