介護保険利用者の訪間看護と訪問リハビリテーションに対する満足度は九四%。デイケアのそれは一〇〇%に達する。医療系サービスに対する満足度が高いことは医療基盤が充実しているからだ。介護保険がスタートして一〇か月。お年寄りは、いつでもどこでも医療サービスが出動してくれる介護を期待していることは明らかである。高齢化率二六%に達する過疎高齢地にもかかわらず保険料が二七五九円と全国平均以内に納まっているのも医療機関による介護基盤整備が進んでいたからだろう。
両刃の剣となる「複合体」
鴨川市の保健・医療・福祉を事実上リードしてきた牽引車は亀田総合病院。一九八八年(昭和六三年)に社会福祉法人太陽会を設立して特別養護老人ホームを開業。同時にショートステイとデイサービスを始めた。一九九三年には在宅介護支援センターと緊急通報システム事業を開始し、一九九五年には老人保健施設「たいよう」を開設、同九七年には配食サービスもスタートした。二〇〇二年九月にはケアハウスもオープンする。
二木立日本福祉大学教授は、単独または関連・系列法人と共に、医療施設(病院、診療所)と何らかの保健・福祉施設を開設し、保健・医療・福祉サービスを一体的に提供しているグループを「保健・医療・福祉複合体」と呼んでいる。社会福祉法人に比べて優れた経営能力と厚い人材を持つ医療法人中心の「複合体」は、介護保険を追い風に勢力を伸ばすと予想されている。二木教授の調査によれば私的病院・老人保健施設・特別養護老人ホームの三点セットを持つグループは全国に約二六〇。亀田総合病院グループは典型的な「複合体」の一つといっていいだろう。