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だから子供をいくら責めても解決しない、その背景にある社会をつくった大人の問題であって、要は今の日本の大人が夢を持っていないことに問題があると思っています。

堀田 (うなずきながら)同感です。

小山 子供が自己中心的というけれど、私から見れば大人のほうがそうですよ。戦後五〇年は物の豊かさで人間の幸せを追求してきた壮大な実験でしたね。確かに一定の成功にはたどり着けたし、それは否定しないけれども、でもやっぱり欠けていたものがあるのではないか。だから単にだめだと批判するのではなくて、次はこういう方向にこういう努力をしていこう、そんな提案がこれからは必要じゃないですか。ですから私はさわやか福祉財団の活動は非常に意味があると思っているんです。

堀田 ありがとうございます。まさにおっしゃる通りなんですね。今の閉塞感に覆われた社会は大人の責任。確かにモノは生活の豊かさをつくってくれるけれども、でも人はそれだけでは絶対に幸せにはなれません。モノが満ち足りて、そして高齢社会となって、これから私たちは心の豊かさをどうつくっていけばいいのか、そこが今、日本社会全体に求められている大きな課題であって、私たちも何とか頑張ってそうした仕組みづくりをしていきたいと思っています。

小山 人間の本質、何を求めるのかという人生論になってしまいますが、最終的には人間は社会的なものですから、やっぱり助け合いですね。自分が誰かの役に立っていることを感じることが結果的に自分の幸せになる、将来的にはそんな社会、時代になっていくのではないですか。日本でも我々の親の世代まではまだ助け合いの気持ちがあったと思うんですよ。ここ一〇年から二〇年、それがすごく弱くなってしまったのを何とか元に戻さないと。

堀田 小山さんは全国の学校を回っているというお話でしたが、実際に日本の子供たちと接触してみて、どんな感じをお持ちですか?

 

 

 

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