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小山 ベトナムに旅行した年は、ちょうど六年生を教えていたんです。ベトナムはドイモイ政策以後、社会が急拡大しています(ドイモイ…刷新。一九八六年に採られた対外経済開放政策)。旧サイゴン、今のホーチミン市はベトナム第一の大都市で豪華なホテルが建ち並んで、でもガラス扉一枚隔てた向こうには自分が教えているのと同じような年格好の子が大勢路上で寝ているんですよ。垢にまみれて裸足の子。外国人を見ると物乞いに走って来る。一九九二年の夏でしたが、日本はまだバブルの余熱も残っていて、同じ地球、東京から飛行機でたった五時間ちょっとなのに、こんな世界があったのかと。ものすごい衝撃でした。

堀田 行動力というのはとても大切なものですが、でも口でいうほどたやすいものではありませんね。衝撃は受けても目をそらしてしまう人は多い。そんな中で、自分のできることをと行動されたのは大変なことです。ただベトナムというのは共産党の一党独裁ですし、ご著書を拝見しても理不尽な横やりがずいぶんあったようですが、嫌にはなりませんでしたか。

 

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