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舵取りの定まらぬ二一世紀をどこに向かわせるか

 

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さわやか福祉財団理事長 堀田力

 

堀田 いよいよ二一世紀の幕開けとなりました。二〇世紀が抱えてきた問題を直視してこれから目指す方向を改めて考えていく必要がありますが、端的に伺いまして、この世紀はどのような方向に進むとお考えですか?

石川 以前から思っていることですが、率直に言って二一世紀というのはまだ見当がつきにくいですね。課題が山積する中でもう少しはっきりしたものが出てくればいいけれど、一向にあいまいでさまざまな危険と可能性を含んでいると、正直、案じているところです。

堀田 (うなずきながら)その課題の第一は何といっても人口問題ですね。先進諸国は少子化に悩む一方で、発展途上国では人口が大爆発を起こしています。世界の人口でいえば現在六〇億人ですが、今後も人類史上経験のない人口増加によって環境破壊なども懸念されています。

石川 もはや人口増加は避けられませんし、その過程で困った現象がたくさん出てくるでしょう。行き着くところは、まず先進国側がいい考え方、対処法を持ち出せるかどうか。それと発展途上国のリーダーが本当にこの問題の深刻さを自覚しているのかどうか。あるいは理解はしているけれどもどうにもならないということなのか、そのいずれかなのでしょうが、いずれにしても国際的な利害調整をどう行うのか、それが問題です。

堀田 おっしゃる通り一刻も早く何らかの枠組みをつくって対処していかないといけませんね。二一世紀一番の頑張りどころかなという気が私もしています。発展途上国は何とか経済発展を遂げたい。これまで先進国側は十分以上の利益を得てきたわけだから、相当犠牲を払ってでも彼らを支援しながら、資源浪費や環境破壊をくい止めていくべきですし、またそうしないと私たち自身の問題、生活に跳ね返ってくるんですね。

 

 

 

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