世界から戦争や地域紛争がなくなる日が二一世紀中に来るかどうかは推測がむずかしいが、推測する前に、私は、それを実現しなければならないと考えている。
そのために大きな役割を担うのが、国連とボランティアである。
もともと人は(人だけでなく、あらゆる動物も)、できれば争うことなく、平和に生きることを望んでいる。それが、生存本能の基本的な現れだといってもよい。
生存を確保され、生存のために人を殺傷する必要のない段階に達した先進諸国の人々は、発展途上国の人々を人間同士の争いによる殺傷から守る活動を、いっそう展開するようになるであろう。それが、自然な人間愛の発露だからである。
地雷除去のような直接的なものに限らず、生計のための技術を教えたり、子供たちの教育を促進するなど、物的あるいは精神的な豊かさを普及するNGO活動は、すべて平和の実現に有効である。
一方、先進諸国の中では、資本の持つ非情さが、人間関係や環境などを破壊する悪しきエネルギーを発揮する恐れが強い。これを押しとどめ、温かい人間関係や快い環境を維持発展させる力を持つのが、NPOである。
その意味で、二一世紀最初の年を、国連が、ボランティア国際年と定めた意義は、まことに大きいといえよう。
国籍のいかんを問わず、地球上の人を愛する気持ちを、のびのびと発現したいと思う。