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「無年金者を含めて年金額が月一万五〇〇〇円未満の人が保険料を支払った場合、憲法第二五条第一項の『すべての国民は、健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する』ことに抵触しないのか」(『Q&A…わかりやすい介護保険読本[実務編]』公人の友社)である。

また、秋元政三三鷹市健康福祉部長らの介護実務研究会も昨年九月、自治体の介護保険担当者に対し、次のように注意を促していた。

「保険者(市町村)が単独施策として保険料や利用料を減免した場合、その減少する財源は、原則として、他の被保険者が負担することになる。(中略)保険者は『低所得者への配慮』と『負担の公平性』のバランスをどこに求めるかが重要な政策ポイントになる」(『介護保険準備は万全か』ぎょうせい)。介護保険の生活保護者・低所得者に対する保険料徴収システムの詰めが甘かったという批判もあるが、減免の是非はそれとは別の問題であろう。

 

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基調講演をする堀田力

 

「バランス」を決めるのは住民

 

「低所得者への配慮」と「負担の公平性」のバランスは、行政判断に任せておけばいいのか。それは、それぞれの市町村が介護保険料を決める時に、前もって十分に議論しておくべき問題だった。その場には住民が参加し、その総意が反映されて、保険料の水準と減免の是非が討議されるべきだったのである。その「バランス」を決めるのは自治体でも国でもない。その意味で、住民の意思決定代行システムとしての地方議会が十分に機能していたかどうか疑わしい。介護保険が、「地方分権の試金石」(池田省三龍谷大学教授)といわれるゆえんである。

「かつて、低所得者層について、電気、水道などの各種公共料金の助成が、議会で検討されたことがあるだろうか。よろず介護保険の問題として指摘されるものの中には、これまで我々が解決することを怠ってきたことを、介護保険が『炙(あぶ)り出した』に過ぎないものが多いのである」(岡本祐三著『介護保険の教室』)。

 

 

 

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