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国は、まず自治体に対して一般的な助言ができる。そして自治体の行動について是正の勧告を出せる。その際、どう直すかは自治体に委ねられる。さらに、是正されていなければ国は是正要求ができる。介護保険料は確かに自治事務だが、「これについて自治体に誤解がある。自治体はすべてをできるということではありません」(大森教授)。

 

「連帯と自治」の基本理念を再確認

 

介護保険推進全国サミットは福祉自治体ユニットのメーンイベント。参加者は介護保険に積極的に取り組む市町村の首長、職員が中心になっている。今回のサミット実行委員会会長である坂本昭文鳥取県西伯町長が、サミット参加者一同の名で読み上げた「西伯宣言」は、こう指摘した。

「保険料の負担は、誰もが要介護高齢者支援のシステムに参加するという連帯の証である。『自分は助け合いの仲間には参加しない』という住民はいるだろうか。きちんと説明すれば、自分たちの問題は自分たち自身が解決し、そのための負担を引き受けるという責任ある姿勢をみんな見せてくれる。そう私たちは信じたい。(中略)

介護保険料の減免が、あたかも地方自治、地方分権の問題のごとく語られていることを、私たちは悲しむ。自治事務たる介護保険は、市町村の責任によって運営されることは当然のことであるが、市町村長の人気取りや住民の責任放棄であってよいはずはない」

 

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坂本昭文西伯町長

 

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堤厚生省審議官

 

弱者救済の線をどこに引くか

 

この問題、実は石原重雄千葉県流山市介護支援課長ら自治体職員からなる自治体介護保険研究会が昨年一〇月、いち早く指摘していた。

 

 

 

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