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寺園さんの担当する「にんげんゆうゆう」はNHK教育テレビで月曜日から木曜日までの毎晩七時三〇分から八時までの放送。高齢者問題から子育て、障害者、自然、病気、介護保険等々、毎週テーマごとに番組が構成される。テーマは「時代の気分をつかんで決める」(寺園さん)。担当しているのは主に二〇代から三〇代の若いスタッフたち。特に対象を絞っているわけではないが、放送時間帯から、結果的に常連視聴者は家庭の主婦や高齢者が多いという。

「チャンネルを合わせてもらえれば中学二年生くらいからお年寄りまで、興味や知識のあるなしにかかわらず理解し楽しんでもらえるはず」と、同じく番組制作局教養番組部で同番組の制作の最前線にいる大墻(おおがき)敦さんは胸を張る。取り上げた題材がNHKスペシャルのような特集ものに発展することもある。「そんな時、現場は本当にやりがいを感じる」(寺園さん)と、話の端々に制作者の熱き思いがほとばしる。

しかし、思いと視聴率とは必ずしも一致しない。「にんげんゆうゆう」の平均視聴率は一%前後。「問題はどうやってたくさんの人に見てもらうか。見てもらえさえすれば必ず満足してもらえるという自信はあるのだが」(大墻さん)。質のいい番組を支える鍵は公共放送であれ、民間放送であれ視聴者が握っているのである。

 

視聴率という化け物?

 

その視聴者の動向を数値化したものがいわゆる視聴率だ。

 

視聴率、営業面を意識し過ぎる。迎合的な番組または品のない番組が目立つ。

(男 71 長野県)

 

バラエティ番組か多過ぎる。中には中高生を主体にして感動させるものもあるが、時々、はみ出しているのではないかと思うほど、バカな番組を作り、子供たちに「こび」を得ようとしているようにも感じる。視聴率を重視し過ぎている。もっと視聴者と考えさせるような番組があればと思う。

(女 46 石川県)

 

 

 

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