「高齢社会とマスメディア」アンケートには、一〇月初め時点で全国二一都道府県から男性四一名、女性二八名の計六九名の声が寄せられた。年齢別に見ると八五歳から二九歳までと幅広いが、平均年齢は六二・三歳。一日に見るテレビ視聴時間で一番多かったのは約三時間、年齢による違いはあまり見られなかった。
こんな番組が見たい! 視聴者
こんな思いで番組を作っている! 製作者
高齢者向けといえば健康番組ばかりでなく、もっと老人の知恵を生かしたようなもの、老人と子供や老人と家族のふれあいの番組ができればと思う。また老人も社会的弱者を逆手に取った甘えの体質を自ら捨て、自立をめざして老年期の望ましい生き方を見いだすよう努力すべき。それを手助けする教養番組も欲しい。
(男 73 三重県)
わかりやすく構成された科学番組は知識として受け止めるだけでなく、今を生きる者にとって必要でありまた興味が深まり、次への発展に期待をかける。好奇心が旺盛になるような番組作りが高齢者に若さを与えるバロメーターになる。
(女 69 神奈川県)
今回のアンケート結果を見ると、よく見るジャンルのトップは「ニュース番組」、そして「ドキュメント番組」「専門教養番組」と続く(前頁グラフ参照)。さらに、好きな番組では、一位が「葵 徳川三代」(NHK・日曜日午後八時〜八時四五分)の一四票、二位に「クローズアップ現代」(NHK・月〜木曜日午後七時三〇分〜七時五五分)と「サンデープロジェクト」(テレビ朝日系・日曜日午前一〇時〜十一時四五分)の一〇票、以下「NHKスペシャル」「プロジェクトX」「NHK朝の連続ドラマ」とNHKの番組が並ぶ。近頃は「視聴率にこだわり過ぎているのでは?」という批判も洩れてくる中で、やはり“天下のNHK”、熟年世代にも見ごたえのある番組作りにはまだまだ定評があるようだ。「実用面だけのハウツーものでなく、生き方や生きがいのヒントとなるものをという思いで番組を制作している」と言うのは日本放送協会(NHK)番組制作局教養番組部チーフ・プロデューサーの寺園慎一さん。