退所後はどうなる?
逆に言えば「要支援」「自立」の人は、5年間あるいは当分の期間が過ぎた後で要介護状態が悪化しなければ施設を出なければならない。なぜならば“元気老人”が施設に居られるのはあくまで介護保険の例外サービスだからだ。施設に入りたくても入れない要介護度がより重い高齢者が順番を待っている。「要支援の人で、自宅がある人は自宅に帰ってデイサービスに通うとか、自宅に帰れない人は養護老人ホームや有料老人ホームなどに入ることになるでしょう」と厚生省の担当者。
介護状態が軽いのは本来喜ぶべきもののはずだが、“自分の行く末”が心配でたまらないという入居者の気持ちも切実だ。国はこうした高齢者の受け皿として生活支援ハウスを拡充する方針を明らかにしている。また都道府県等の住宅供給公社では、今後介護付き賃貸住宅供給事業を行うとも発表。民間でもこうした高齢者のためのケアハウス建設や新しいタイプの老人ホーム開発が進んでいるようだ。
介護保険サービスと共に日常のちょっとしたことを生活支援サービスで支えてもらえば高齢者が自宅で暮らすことも不可能ではない。そうした「枠外」サービスの体制づくりも、今後は各市町村で独自に進められる。ボランティアやNPOが提供する「助け合い」のサービスも含めて、今のうちから自分の住む地域の情報を集め、身の振り方を決める5年後の生活設計を立てておきたい。