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何せ八人兄弟の長女、人の世話はするけれど自分の世話をされるのは嫌いというタチですから、なかなか他人は入り込めない。そこは親子、言いたいことを言い合えるのが、母のボケ予防になっているのかもしれません(苦笑)。もっともこちらはストレスが溜まる一方なんですが…。日曜日には弟(昌彦さん、六三歳)が東京・日野市から駆けつけて、日帰り介護を続けています。

 

ご兄弟で遠距離介護というわけですか。往復の交通費だけでも大変でしょう。昨年秋、TBSテレビのニュース番組に出演して、遠距離介護の苦労を訴えておられましたが…。

 

今は毎週のことなので新宿から岡谷行きの高速バスを使います。これだとJR運賃の半額で済みます。それでも交通費だけで月に二万五〇〇〇円以上かかる。年金生活に入った六〇代の熟年世代が親のめんどうを見なければならない時代。世の中“老々介護”が当たり前でしょう。収入が限られてくると、これは頭の痛い問題になる。JR、航空会社、バス会社で何とか対策を考えてほしいと訴えました。そしたら日本エアシステムが今年四月からの運賃改定に合わせて、介護帰省割引制度を採用してくれた。これは朗報です。ほかの交通機関でも介護割引制度を真剣に考えてほしいと思います。

 

ストレス解消にサイクリング

 

長年の介護でストレスは溜まりませんか。

 

そこですよ。母は気の強いタチですから、私に向かって悪口をたたくこともしばしば。こっちも負けちゃいない(笑)。まあ、親子だから、根に持つことはないのですが、気分転換しないともたないときだってある。そんな時は自転車で諏訪湖畔を回り、公園やお寺、図書館を巡ります。もう一つは千葉に戻ってから、大学の公開講座に通ったり、講演会に出向いたり、地元の同人誌『習志野ペン』の原稿を書いたりと、努めて外の活動に時間を割くようにしています。もっとも最近は諏訪に週四日行っていますから、自分の使える時間が少なくなって、焦りを感じます。二重生活は正直言ってつらい。定年前からやってきたセカンドライフの設計は、いつまで続くことやら。

 

 

 

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