「神戸株式会社」の“伝統”に沿って民活を基本に
五年半前、神戸市を襲った阪神淡路大震災の犠牲者六四〇〇人の半数は高齢者だった。震災により政令指定都市の中では福祉サービスの供給水準は「最下位グループに属していた」(市内福祉施設関係者)という福祉後進地の実態が暴露され、震災復興と高齢者福祉充実の両面作戦を強いられた。そこで自治体財政に負担をかけずに介護保険サービスの供給体制を整えるため介護ビジネスを積極的に誘致した。
神戸市はかつて民活による独特のまちづくりの手法で「神戸株式会社」の異名を馳せたが、今や全国有数の介護ビジネス激戦地。次の課題はサービスの質の確保。一九九九年十二月二四日の神戸市シルバーサービス事業者連絡会設立とほぼ同時に「神戸市介護保険サービス研究会」(座長・本沢巳代子大阪府立大学教授)を設置。同研究会の意見を踏まえて第三者評価機関による介護サービスの評価を実施することによって介護保険体制の仕上げにかかった次第である。
介護保険によって介護を受けることは市民が自己責任で民間事業者と契約して「介護」という商品を買うことにほかならない。