介護保険を使いこなして、安定かつ継続した活動をめざしたい
「介護保険事業への参入については全員で検討。その結果、現在提供しているサービスの延長線上に介護保険をのせて、助け合い活動の基盤を強くしよう。そして、介護保険による利益は市民が安心して暮らせる助け合い活動の運営に投入していこうということで、参入を決めました。でも、実際に始まってみるとお金が絡んでくるだけに、今までの“困ったときはお互いさま”の精神では通用しない側面も出てくるなど、戸惑いは大きい」と牛島さんは告白する。
たとえば寝たきりで、窓から外を見ることが唯一の楽しみ。だから窓を磨くことを何よりも優先してほしいとの希望を本人が持っていても、介護保険ではそれを許さないなど、縛りがきついこともそう。NPOの精神を理解せず、パート感覚で活動に参加してくる人もいる等々…。もちろん、介護保険に参入するということは、市場の原理=競争にさらされるということでもあった。おそらく介護保険に対しては、全国の団体でも、牛島さんと似たり寄ったりの思いを抱えていることだろう。
「正直言って、助け合い活動一本でやっていたほうがよかったと弱音を吐きたくなることもある。でも、NPO法人として社会的責任を持ち、安定かつ継続した運営が可能な団体に成長していくためには、介護保険を使いこなすことは避けては通れないハードル。