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鬼崎中は、「心身共に健康で、豊かな心を持ち、たくましく生きぬく生徒の育成をめざす」という学校目標の実現のための一つの方法として、達成感のある体験活動を重視している。1年生は、「福祉、人権」、2年生は「環境、生き方」、3年生は「郷土理解、国際理解」というようにテーマを明確にして体験学習を軸に学習を進め、3年間を通じての人間形成をめざしている。

この学習の、まず第1番目に福祉を持ってきた理由について、梛川校長は、「1年生の学年目標を、『広い心を持ち、感謝と思いやりの気持ちを育てよう』としています。その目標に迫るために、まず、人の生き方の基本として福祉を学びます。それが3年間の体験学習の土台となります」と語る。福祉の学習は人間形成の基礎、という考えだ。

こうした体験学習は「LIFE TIME」と名づけられた「総合的な学習の時間」を中心に行われる。1年生は、まず、地元の社会福祉協議会の方による講演などのオリエンテーションのあと、各自がテーマを持ち、地元常滑市の福祉施設の調査を行った。その後、十分な事前学習の後、各自が興味を持った施設を訪ねて体験学習を行ったのである。障害者の福祉施設、高齢者の介護施設、助産所など、訪ねたところはさまざまだ。その一つが「はっぴいわん」であった。訪ねた施設で体験した内容と感想は、「春潮ノート」という個人ファイルに綴じられていく(「春潮」は校歌の一節)。指導に当たる先生の一人である冨田高生教諭は、「このノートは、実践の積み重ねの記録であると共に、心の成長の軌跡でもあります」と話す。学校の意欲と、地元の協力がしっかりと共鳴し合い、「豊かな心を持ち、よりよく生きる」たくさんの生徒が鬼崎中学校から巣立っていくことだろう。

 

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“こんなに獲れた!”はっぴいわん農園で収穫。

 

 

 

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