みんなの広場
Mさんへ
蟹江幸子さん 59歳
愛知県
Mさん(男性)は98歳、私たちの町で長寿の横綱さんでした。週に4度デイサービスに出かけられ、お風呂に入ってコーヒーを飲んでテレビを観ての一日、木曜日は私たちのナイトケアにてお泊まりが日課でした。一夜を共にするのですが、その几帳面なること天下一品、イスにつかまりながら移動してテーブルに出ている新聞、雑誌、雑用品等を常に整理整頓。このMさんの家族から七夕の日、熱が下がらないので来てほしいと連絡を受けて伺いました。清拭を済ませ、口の中を冷たいガーゼでさっぱりしてもらい、お医者さんの、「体は弱ってるが体力はまだ回復できますよ」との言葉に安心して、両手を前に開いて出して、イチ、ニ、サン、シのゴと声をかけ、Mさんも顔をほころばせて一緒にイチ、ニを数えました。その数時間後、「今、旅立ちました」との電話を受けました。
つい1時間ほど前のMさんは何だったのか? 人間ってこんな具合に死を迎えられるのか? 涙も苦しみもなく。きっちりと生きられた98年。