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こんなこと言うと、叱られるかもしれませんが、家族にとって介護のためのお金は後ろ向きの金かもしれません。人間は子供の教育のためだったらお金を投じるけれど、お年寄りのためにはお金を使いたがらない―これ、動物の本能かもしれませんね。それはともかくサービスの利用手控えについては、お年寄りの立場に立って総合的な対策が必要です。

 

喜ばれるショートステイに

 

ショートステイ(短期入居)の利用率が低いのも気になります。

 

これが一番頭の痛い問題です。どこに行ってもベッドはがらがらで、老人ホームの責任者は悲鳴を上げている。さすがに厚生省も二〇〇二年からショートステイの利用可能日数の上限を撤廃するという改善策を打ち出しましたが、それでは遅すぎる。二年も待てません。直ちに改善の手を打つべきです。利用するお年寄りにとっても、送り出す家族にしても現在のショートステイは欠点だらけ。ことにお年寄りにとって居心地の悪い施設になっているのが問題で、不人気もいいところ。

「四人部屋では困る。もう二度と行きたくない」という声をよく耳にします。私は一五年間、国内、海外の高齢者福祉の現場を見てきたのですが、ショートステイについては、1]大部屋でなく個室にする、2]畳の部屋を増やし、なじみやすい雰囲気に変える、3]スタッフのサービスを充実する―ことが何より大事だと思います。つまり運営とサービスの中身に問題があるわけで、お年寄りが喜んで行けるような仕組みに一日も早く改善してほしい。

 

行政に対する注文は尽きないと思います。これからは国会議員として改革に尽力してほしいですね。

 

介護保険制度は「介護の社会化を進める」という点で、いい仕組みだと思います。それをもっともっと使いやすいように改善していくことが私の使命。介護保険の申請件数は六月末で約二八〇万人、実際に利用している人は在宅・施設利用者を含めて二一〇万人(入院者やサービスを受けていない人は除く)に達していますが、まだ遠慮している人も多い。制度が国民の中に浸透していけば、利用者はまだまだ増えていくと思います。金銭上の負担が生じる一〇月からが本番ですよ。国会の常任厚生委員としてもがんばります。

 

故松下幸之助さんとの出会いから

 

ところで山井さんは松下政経塾で五年間勉強されたわけですが、故松下幸之助さんの薫陶を受けられたのは幸いでしたね。

 

松下塾長は当時、九〇歳過ぎ、車イスに乗って来られましてね。

 

 

 

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