生前七回もお目にかかりました。いつも国の行く末を真剣に考えておられた…。「国政に経営感覚を取り入れないと、日本の将来は危うい」と。松下さんとの出会いがなかったら、ぼくは高齢者福祉の世界に飛び込んでいなかったでしょう。
国会議員としてこれからの活動方針は?
初当選した若輩者ですが、せっかく介護保険がスタートした年ですから、全国で二五〇万人を数える寝たきり老人・痴呆症の人、それを支える家族や医療・介護の現場の人たちの「声なき声」を代弁する“身代わり”になりたい。ここ衆議院第一議員会館の二四〇号室は、介護保険をより良くしたい人たちの発信基地とします。私自身は業界の利益を代表する族議員ではなく、スペシャリティーを持った“専門議員”でありたいと思っています。党内に設置された「介護保険をより良くするプロジェクトチーム」の事務局長になりましたから、さっそく始動です。これからの政治はスピードが大事、何せお年寄りや介護者は待ってくれませんからね。
もう一つの課題は、今問題になっている公共事業を福祉型に転換していくこと。高齢者福祉の充実こそ景気への波及効果が大きいし、地方に雇用の場を広げる突破口になると考えています。「景気回復は福祉から」と声を大にして訴えたい。
グループホームの拡充こそ
痴呆ケアの場としてグループホームの充実を訴えてきましたね。
その通りです。全国約三三〇〇の市町村の中でグループホームはわずか五〇〇か所。一部の自治体にしかグループホームがありません。ゴールドプラン21(新しい高齢者保健福祉推進十か年戦略)では、二〇〇四年度までに全国三二〇〇か所に痴呆性老人用のグループホームを設置する目標を掲げていますが、私は小学校区単位に合計二万五〇〇〇か所のグループホームを設けるべきだと考えています。空き家になっている民家や商店を活用して、小回りの利くグループホームを設置していきたい。お年寄りの住み慣れた環境のところに設けるのがいちばんいいと思います。堀田力さんが提唱しておられる「ふれあい型グループホーム」に賛成です。一丸となって推進したいと思います。