「当時は福祉のことなどまるで知りませんでしたから、老人ホームに入っているお年寄りに対しても、こんなにきれいな施設で、いろいろな人から至れり尽くせりのお世話をしてもらって、むしろ幸せなんじゃない? と思っていました。ところがある時、ホームのお年寄りの一人が、私の手を握って、“子供に会いたい、孫に会いたい”と言って泣いたんです。その時初めて、彼らは自分の意志でここに入っているわけじゃないということに気付きましてね。それで、安心して老いることができる地域づくりについて考えるようになったんです」
そんな時に新聞報道で、日本ケアシステム協会が、地域に根差した人間ケアを提供し、すべての人々が健やかに暮らせる地域社会づくりに寄与することを目的とした互酬型ボランティアの全国ネット組織「まごころサービス」を立ち上げたことを知った須田さん。
「これまでの行政から与えられる福祉ではなく、対等な立場で相互に助け合えるシステムという点に感銘しましてね。これで日本中がよくなるというワクワクした気持ちになると共に、私の求めていたのはコレだ!と思い、即、入会を決めました」
そしてその後、婦人会の仲間に呼びかけて団体づくりを志した須田さんは、四〇名の賛同者を得て、一九九二年四月に「まごころサービス福島センター」を立ち上げた。「設立に当たっては、御山地区の一六〇〇戸全戸にチラシを配布し、説明会を開催したほか、地元新聞やミニコミ誌などを通じても広報活動を展開しました。