「実は今も、ある一人暮らしの痴呆のおばあさんのところに見守りに行ってきたんですが、その方は気位が高くて、半年以上通っているヘルパーさんでさえ、玄関先で一五分ほど立ち話をするのがせいぜいと聞いていたんですね。ところが今日、私がピンチヒッターで訪ねて行ったところ、初対面にもかかわらず家に上げてくれ、自分が作った短歌の本を見せてくれたり、おかげで、一時間半近くも話し込んでしまいました。一体、彼女は私のどこを気に入ってくれたのか…。私自身にはわかりませんが、利用者によって、自分が知らない自分が引き出される。そういう未知なる自分と出会えることが、この活動の一番の魅力だと思います」
満面に笑みを浮かべてこう語るのは、「まごころサービス福島センター」の理事長を務める須田弘子さん。自分がヘルパーとして活動をしなければ、利用者の気持ちも、ヘルパーの気持ちもわからないという彼女は、事務局運営たけでも忙しい中、ヘルパー活動にも積極的にかかわり、その時間数はもう八〇〇時間にも達するという。
対等な立場で助け合える地域づくりをめざして
須田さんが「まごころサービス福島センター」を設立しようと思ったのは、一九七〇年に結成された「御山婦人会」の活動の一環として、一人暮らしの老人昼食会や友愛訪問、老人ホームでのボランティア活動を行う中で、従来の福祉のあり方に疑問を持つようになったのがきっかけだという。