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新入社員14名が東京都江戸川区にある特別養護老人ホーム「なぎさ和楽苑」を訪れた。新人たちは、2日間、朝9時から夕方5時まで食事や風呂の介添えや掃除をしたり車イスを押したりした。お年寄りたちの話し相手にもなった。松原社長も同行し、心と心のふれあいを身をもって体験した。新人たちはいきいきと活動し、ふれあいの楽しさを学んだ。

翌年の新人は8名、文京区の白山高齢者在宅サービスセンターのお年寄りたちと一緒にバスで浅草見物を楽しんだ。今年も8月に実施した。

企業と従業員が共によき市民として地域社会に貢献する社会が広がるには、松原社長の言うように、人間的なふれあいの心を持った若者を育てていくことが企業に与えられた大切な役割の一つであろう。その意味で同社の播いた一粒の種は大きな意義を持つ。

「最近、ある社員が自宅の近くでパソコンを教えるボランティアをしているという話を聞いたんです。うれしかったですね。もし会社を辞めてボランティア活動をやりたいという社員が出てきたら、会社としては大変借しいが喜んで送り出します」と松原社長の気持ちは大きい。さまざまな制約のためボランティア活動にまで踏み切れない多くの中堅企業がまず一粒の種を播くことにより、地域にしっかりと根を張った企業市民が続々と誕生することだろう。(取材・文/三上彬)

 

 

 

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