企業単位でのボランティア活動といってもその規模・内容などはさまざま。十分な人、金、時間などを得て充実した活動を行っている会社もあるが、しかしこれはほんの一握りの話。日本のほとんどの企業は、ボランティアへの理解はあっても、種々の制約により逡巡しているのが実情だ。
今回紹介する株式会社システム情報もそんな企業の一つだった。東京都中央区にあり、システム開発に関する技術サービスなどを手がける従業員140名の中堅企業だ。端正な技術者を思わせる松原春男社長にお会いした。
「以前からボランティアをとは思っていましたが、業務の性格上お客様のところへ行って仕事をする社員が多く、全社員が一堂に会する機会は非常に少ないんです。社員がまとまって何かをすることはむずかしい、ならば新入社員の研修期間中にボランティアを体験すれば、若い時からその意識を持つのではないか、と考えたんです。当社の社員はコンピュータという機械を扱う仕事が中心、どうしても人間的なふれあいが少なくなります。やはり人間社会ですからね、そうしたふれあいの情を若いうちに体得してほしいですね」と松原社長。氏の信念と執念が、ソフトウェア業界では非常に珍しい企業ボランティア活動を実らせた。1998年5月のことである。