ふれあい切符誕生の背景
ではここで、有償ボランティア活動に関するふれあい切符制度について振り返ってみましょう。
在宅サービスの中でも、玄関から一歩中に入って家事援助などを提供するサービスは、継続していくことが必要です。年に一度や数回のサービスだけでは、掃除にしても食事づくりにしても在宅で生活するのはほとんど不可能だからです。また、要援助者は日々重度化していきますから、継続性が重要となっていきます。しかし、一般的に私たちは、家族や親戚ではない、見も知らぬ他人からサービスを受けることに慣れてはいません。そこで、受ける側は、無料で受けることに心理的負担があって、何らかのお礼をしようとします。
一方、組織的継続的に責任を持ってサービスを提供しようとすれば、事務所やコーディネーターなどの専従スタッフが必要となります。そこで、サービスの必要な人に、一時間当たり一定額を負担してもらえば、組織は責任を持ってサービス提供体制をつくりやすいということになります。これが、担い手と受け手とが対等の立場に立てるための有償ボランティア制度です。しかし、担い手の中には、ボランティアなんだからと、謝礼金とはいえお金を受け取ることに抵抗を示す人々もいます。そこで、活動時間分を時間(または点数)で貯めてはどうか、ということで時間預託制度が始まったという背景があります。
互酬、互助の精神をより具現化するふれあい切符
ふれあい切符制度は、「困ったときはお互い様」という互酬・互助の精神をより具体化するための一つの有効な手段ですから、採用する草の根団体においては、一方的に「あなた助けられる人・私助ける人」というように利用会員、協力会員と区分けしてしまうのではなく、サービスの双方向性をうたい、会員の一本化を図ることのほうがより望ましいあり方といえましょう。