介護保険制度がスタートして半年余り。高齢社会を支える新しい制度として、まさに難産の中での出発です。この間、厚生省は「ゴールドプラン21」(新ゴールドプランの後を受けた二〇〇〇年度から二〇〇四年度までの五か年間の高齢者保健福祉施策)を、またこれに先駆けて、ちょっとした手助けがあれば自宅で暮らしていける人々のために「介護予防・生活支援事業」を打ち出しましたが、まさにこうした介護保険の枠外分野を担うことを期待されているのが市民やNPOです。
そんな中で、自治体や議会等からの問い合わせが多くなっているのが「ふれあい切符制度」です。介護保険の枠外を担うサービス活動において有効な手法と注目されているのが、このふれあい切符制度だからです。またタイムダラーやレッツなどといった「地域通貨」に関する問い合わせも数多くあります。
ふれあい切符も地域通貨の仲間なのですが、この関連からまず述べていくことにしましょう。
ふれあい切符と地域通貨
滋賀県草津市の「おうみ」や北海道栗山町の「クリン」、あるいは「エコマネー」といった報道が、最近、よく見受けられますが、これらはみな地域通貨と呼ばれるものです。
“通貨”の基本的機能は交換の媒介です。ふれあい切符も、提供したサービスと将来提供を受けるサービスとの交換を媒介するものですから"通貨"といえるわけです。そして国が発行する通貨(国民通貨)とは違い、民間団体などが独自に発行し、限られた地域で相互の信頼関係を基に運用されているのが「地域通貨」です。