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堀田 本当にそうですね。そもそも宗教というのは、本来生きている人のためになければいけないのに、そこの基本が忘れられて死んだ人だけの仏教になってる。

栗山 そうすればお寺も蘇るかもしれませんよね。いずれにしても六〇歳を超えたら、わずらわしさと寂しさと、どちらを取りますか? という選択が突きつけられる時代になったということですね。孤独に耐え続けて一人寂しく町内を歩くのか? それよりはわずらわしさを耐えたほうがいいんじゃないかとぼくは思うんです。そういう人が増えてくれば、どんどんグループホームのイメージも変わるし、数ある公団住宅もどんどん改築していって、プライベートな居住空間と共同の空間をミックスさせたものにしていく。公共投資もそうした方向でやっていくのが理想でしょうね。

松山 「一人一五万円ずつもらえれば、七五万の月給取りと同じ」というそのままの形でいうと、ハワイにあったんですよ。フィリピン人の家庭で奥さんが看護婦さん、旦那さんは法律の仕事をしている。彼らは家族や近隣の助け合いを大事にする国民で、他に数軒あるらしいですよ。自分の家に五つの個室を作って、シャワートイレ付きのベッドルーム。下宿屋のおばさんだと思えば何でもない、小さい子供よりずっと面倒がないと言うんですね。日曜ごとに家に帰って、またそこで預かってもらう。みんなでメニューを見ながら食べるものを決めたりして、非常に明るいのが印象的でしたね。

堀田 数が増えていけば競争になって運営努力も必要ですし、それによってグループホーム全体のイメージアップにもつながっていく。早くそんなふうになってほしいですね。

 

心豊かに生きるための老いの住まいとは?

 

堀田 高齢になってグループホームで暮らすというのは孤独や不安の解消に加えて、さきほどの生きがいというのがやはり大きいんですね。少なからず共同で助け合って暮らしていく中で、自分が必要とされているという実感。

 

 

 

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