日本財団 図書館


多くの人が賛成するわけだから方向は間違いないんでしょうが、あとは、わずらわしさよりも楽しみのほうが大きいよと、入る人の気持ちをどう変えてあげられるか。

栗山 そのソフトの部分がまだ未開発なんですよね。やっぱり男性の社会化かなあ。ぼくも置いてかれるとは思うんですが、相当出遅れているので。

堀田 奥様は何と?

栗山 あなたは一人で老後を選びなさい。実際に暮らしてみてあなたたちを入れても壊れない状態になったら来てもいいわよ…(笑)。

堀田 (笑)自立は老後の健康のキーワードですからね、きっと奥様が温かく厳しいエールを送られているんですよ。

松山 要はもっと老後というものをじっくり考えて、生活を楽しみましょうということですね。できる限り行政の世話にはならないぞとがんばって、仲良しグループで『さぁ、言おう』ならぬ『さぁ、遊ぼう』なんですよ。そうすると孤独や不安の半分は解消するんです。八○、九〇になっても元気で日常生活を送っている人たちも大勢いるわけで、彼らこそ顕彰すべきなんですよ。

栗山 今回いろいろ調査したら、どこのホームでもカラオケとかをやってるんですね。ぼけた人でも歌なら歌える。映画でも三味線をひいて歌っている時のばあちゃんたちはなかなか魅力的なんですよ。音楽というのはそういう効果があるんですね。

堀田 ぼけた方でも完全に人間性を失っておられる方は絶対にいないですよ。音楽や趣味はもちろんですし、日常生活でも役割を与えられることで症状も改善して、どんどんいい表情になってくるんですね。

栗山 役割を奪うからどんどん寂しくなって脳も不活発になるんでしょうね。うちのばあちゃんなんかでも、非常に奉仕したがる。ぼくが代わりにやると言うと怒りますよ。疲れると思うのにやらせておくと元気で。

松山 健康のためには老人をこき使えと(笑)。ちなみに、ぼくは痴呆っていう言葉はいやなんですよ。ぼけのほうがいい。「痴呆だっ」って言われたら絶望的な感じで。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION