堀田 老後、死に至るまでの一つの生き方として、家族だけじゃない、仲間と一緒に楽しく暮らすグループホームもあるんだよと。
松山 そうですね。ひっかかる方もいるでしょうが、ぼくは安楽死法を考えてほしい。本当に尊厳ある生き方を最後まで貫くために自ら決められる選択は大事なんです。だからこそ、逆に自分が死にたいと思うまでは精一杯元気で生きようと思える。私は家内とよく死について話してますよ。死は怖いものではないと慣れておきたいですから。ぼくは先に死ぬよとか。餓死が一番楽かなとか言うと、じゃあ私は枕元でうなぎ焼いてるからとか(笑)。そんな話を一日置きにしています。
グループホームは血縁から離れた新しい社会づくりへの挑戦
栗山 昔、助監督になりたてのころに読んだフロイトでしたかね、えらい時代になったというのがあったんですが、今の日本の高齢化こそまさに未曾有で、どこにもモデルがない。真似して追い付いてというのが得意でやってきたのに、他に範を求められない。産業社会になってお母さんも子供も働きに出る。つまり昔のような家庭は成立しなくなっている上に、親戚のじいちゃん、ばあちゃんまで含めれば誰かが痴呆症という恐ろしい時代。そんな中でどう老いを生きていくのか、その一つがグループホームなんだろうなと。
堀田 人類には五〇〇万年の歴史があるそうですが、その間の社会的集団の基礎というのは、ずっと血と婚姻が基なんですね。この家族を、まったく血も婚姻も関係ないところで作って一つの社会にしてしまおうというのがグループホームですから、その意味で大袈裟でなく人類初めての試みであると、私は思っています。