特に男はわずらわしいと嫌われます。何もやらないし、やってあげてもありがとうも言わないから(笑)。多くの男性は誰か家族が世話してくれる、グループホームなど他人事と思っていると思うのですが、栗山さんご自身はいかがですか?
栗山 そうなんですよ。ぼくら発想すらできなかったですからねえ。いやあ世間は進んでいるなあと。広く含めて数えると五〇〇〇以上はあると聞いて、びっくりしたんです。そこにいくとやっぱり女は怖い(笑)。
堀田 (笑)と言いますと?
栗山 松山先輩が書かれた前題は「この指止まれ」だったんです。それをぼくが考えた末に変えさせてもらったんですが、実は台本を家に持ち帰って「これやるよ」ってかみさんに言ったら、えっ、私たち、今「この指止まれ」っていうグループホームの研究会をやってるのよって。
堀田 ええっ、本当ですか?
栗山 もうびっくりですよ。あなたには言わなかったけど来たいなら来てもいいわよなんて(笑)。出版社に勤めてるんですが、気が付いてみたら、都庁の女性局長とかを頭にして、定年後の生き方とか老後をじっくり研究してる。でもまさか連れ合いがねえ。ぞっとしましたよ(笑)。
堀田 いやいや、しっかりした奥様ですよ(笑)。すてきな奥様といえば松山さんのところもすばらしいご家庭を築かれていて(奥様は女優・高峰秀子さん)、ご自身を考えればグループホームはあり得ないとも思うのですが、二作続けてテーマに選んだというのは、やはり時代の流れだと見通されてのことですか?
松山 過渡期というかあるべき姿というのがあって、グループホームもそこに到達するためのプロセスだと考えています。その次に来るのが死ですね。人はいつかは必ず死にます。いかにうまく死ぬか、誰だって最後まで自立して生きていたい。これからの時代、それをできる限り実現しようと思えば小さなグループホームこそが本当に安心できる老人ホームであり、その可能性をみんなで考えていこうという問いかけですね。