栗山 娯楽映画がなぜ必要かというとむずかしいけれど、受け手は救いを求めていると思うんですよ。それが笑いやユーモアなんですね。リアルに撮る方法ももちろんありますが、脚本自体が、悲惨だと押し付けるんじゃなくて温かく描くんだよっていう書き方をされてる。それならぼくにもやれるかなあと。ちょっと浅はかな笑いもありますけどね。いつもばかな映画ばっかりやってるので(笑)。
堀田 いやいや(笑)。確かにバカはつきますが大変おもしろい映画ですよ(栗山さんは映画「釣りバカ日誌」シリーズの監督を務める)。今回の映画でも、みなさん、笑いや涙の裏からいろいろなメッセージを受け取ると思いますよ。
松山 今回は十数通の質問に答えるために作った映画ですから、まず可能な限りグループホームを見せていただいたんです。そこからわかったのは「一人一五万円、五人で七五万円」のような下宿屋さんをやると考えればいい、むずかしい許認可なんか要らないんだよという考え方。ただし、そこに故郷とか趣味とか何らかの共有する環境がないとうまくいかないよと。
栗山 (うなずきながら)実際にやっている方に会うとほとんど女性だったんですが、「最後は栗山さん、あなたね、何か見てそれをまねしちゃだめよ」と言われたんです。グループホームというのは自由に構想するものだから、台本をベースにして後はあなたが考えなさいと。ああ、なるほどなあと思いましたね。
誰だって最後までプライドを持って生きていたい
堀田 映画のように元気なうちから共に暮らすグループホーム、私どもではふれあい型と呼んでいますが、関心の高さに比べてなかなか広まっていません。その大きな原因はわずらわしさなんですね。一人暮らしで寂しくて、不安がいっぱいある。でも他人と一緒に住むと自分を抑えなければならない、ふれあいの楽しみがある代わりにわずらわしさもあると躊躇するんですね。