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御調町の介護保険料は月額三六二〇円。全国平均を上回り、県内では二番目に高額だが、九八年から町内くまなく介護保険の説明会を開き、保険料についても理解を求めてきた。保険料が高額なのは充実した施設と、痴呆専門棟でのナイトケア、在宅高齢者へのナイトパトロール、早朝ケアなど全国に類のない在宅ケアのサービスがあるためで、「保険料が高いことはむしろ誇り」と説明会で話してきたという。

 

住民のボランティア活動を活性化

 

介護保険の開始と共に新しい取り組みが一つ始まっている。住民のボランティア組織「福祉バンク」の活性化である。福祉バンク制度は一九九〇年に発足、元気な時に要介護高齢者のお世話をして、逆に自分が必要になったら見てもらう仕組みで、日常的な家事の援助や給食サービスなどを行う。現在の会員は一六八三人(二〇〇〇年三月末現在)で、全町民の二割を占める。この大きなマンパワーを介護保険のサービスが届かない人たちのために生かそうと、今年度から町内七つの公民館を会場にして“ふれあいサロン”を開くことにした。

夏の午後、町の中央部にある市(いち)公民館では、高齢者たちが輪になってイスに腰掛け、福祉バンクのボランティアと共に漢字クイズや手遊びに興じていた。昼食は福祉バンクの食事グループが作ったお弁当をみなで食べた。この日の参加者は高齢者三三人に、世話係のボランティアが二〇人。今年度中にあと四回開く予定だという。

地域包括ケアシステムに住民のボランティア活動が連動して在宅ケアは完成する。山口さんは「あと五年は今の体制でいきます」と自信をのぞかせている。

 

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