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訪問看護の看護婦を派遣するのは病院、在宅ケアに必要な福祉用具の貸与やホームヘルパーの派遣を管轄するのは町の福祉係と、一人の高齢者にいくつもの機関がバラバラにかかわっているため、必要な時に迅速なサービスを提供できなかったのだ。

こうした時代を経て、サービスの一元化を図るべく保健、医療、福祉の連携、統合が進められ、八三年、公立みつぎ総合病院内に健康管理センター(現保健福祉センター)がつくられた。病院とは渡り廊下で自由に行き来できるこのセンターに、福祉と保健の担当部門が町役場から移され、八八年には国民健康保険担当も移ってきた。社会福祉協議会も入っている。一〇年前からはここを拠点に三位一体のケアカンファレンスを実施、ケアプランに基づいた在宅ケアを行ってきた。これも介護保険のケアマネジメントの先駆けだ。

 

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みつぎ総合病院ロビーにはわかりやすいパネルが展示されている。

 

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「みつぎの苑」を中心に複合施設群

 

「住民サイドに立てばサービスの一元化は絶対に必要なこと。首長の決断ひとつでどこの町でもできることです」と熱く語る山口さんのよき理解者であった故金野好男町長の決断で、保健、医療、福祉を連携する機構改革は実現した。介護保険は首長の姿勢次第で運用が大さく左右される制度、金野町長の英断は介護保険の精神をも先取りしたものだった。

地域包括ケアシステムのハード面では、老人保健施設「みつぎの苑」、痴呆専門棟「やすらぎ」、ケアハウス「さつき」があり、さらに広島県より運営を委託されていた特別養護老人ホーム「ふれあい」と老人リハビリテーションセンターが今年度から町に完全移管され、保健福祉の複合施設が完成した。各施設はすべて渡り廊下で結ばれ、丘の上に一大施設群を成す。療養型病床群も病院内に医療保険対応が三〇床、介護保険対応が一八床、計四八床用意されている。

いわゆる社会的入院を避けるために、病院での入院期間は極力短くし、回復期のリハビリや家庭復帰に向けたケアは「みつぎの苑」が引き受ける。

 

 

 

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