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地域包括ケアシステムが誕生

 

山口さんは「介護保険が始まっても、必要なサービスを必要なだけ提供するという姿勢に変わりはありません」と話す。そう言わしめる自信の背景にあるのが、これも全国に先駆けて実現した「地域包括ケアシステム」である。保健、医療、福祉を連携・統合して、必要な時に必要なサービスを提供するシステムだ。

御調町に地域包括ケアシステムができる過程は、山口さんが御調国保病院(当時)に赴任して以来の三四年にわたる活動の歴史でもある。高度医療の導入によって命が助かれば助かるほど、逆に寝たきりが増えたのが昭和四〇年代だった。治療とリハビリによって歩けるようになって退院した高齢者が、一年もたたないうちに寝たきりになり褥創を作って再入院するケースが御調町でも相次いだ。退院後の在宅ケアが不適切なための、いわゆる“つくられた寝たきり”であった。

その体験から、一九七四年に訪問看護や訪問リハビリなど医療の「出前」を開始、寝たきりゼロをめざす活動が始まった。だが、すぐに縦割り行政の壁に突き当たることに。

 

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(公立みつぎ総合病院パンフレットから)

 

 

 

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