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全国トップレベルの在宅ケアと施設介護を誇り、介護保険のモデルといわれてきた広島県御調(みつぎ)町は、介護保険が始まっても何も揺るがない。保健、医療、福祉を統合した地域包括ケアシステムのもとで、住民のボランティア活動も活発になってきた。

(取材・文/阿部まさ子)

 

これまでのサービス水準を継続

 

広島空港から山陽自動車道と国道を走って三〇分、緑一面の田んぼが途切れて御調町の町並みが現れた。御調町は広島県の東南部に位置し、尾道市や福山市に隣接する静かな山あいの町だ。人口は八三三一人(二〇〇〇年四月現在)で高齢化率は二七%。年々高齢化が進んでいる。

この小さな町は介護保険のモデルとして全国的に有名である。二〇年以上前から「寝たきりゼロ」作戦として訪問看護や訪問リハビリに取り組み、介護保険がめざす在宅ケアに必要なサービスはすべて先行実施してきた。施設介護の面でも公立みつぎ総合病院を中核に老人保健施設、痴呆専門棟、ケアハウス、デイサービスセンターなどの施設群を整えてきた。

こうした取り組みを強力に推進してきた公立みつぎ総合病院管理者(最高責任者)の山口昇さんは、「介護保険が始まっても混乱はないだろうと予測していましたが、その通り、静かなものですよ」と淡々と語る。

介護保険の枠に縛られてサービス水準が低下するケースが全国のあちこちの町で起きているが、御調町ではむしろサービス量が増えている。たとえば、訪問看護ステーションの利用者は、二〜三月の一か月平均で七九・五人だったのが四〜五月の一か月平均では九一人に。訪問介護のほうも二〜三月は一か月平均六九・五人だったのが、四〜五月は七三・五人になった。これは、三月まで受けていたサービスは原則的に継続することを決めているためである。

とは言っても、今回の要介護度の認定で、これまでサービスを受けていた約三五〇人のうち三〇人が介護保険のサービスを使えない「自立」に判定されている。この人たちには、要介護となるのを予防する視点で町が機能訓練と生きがいデイサービスを開始し、配食サービスと移送サービスも行うことで対応している。

 

 

 

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