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心と教育 学校の新しいかたち

JCと平成の寺子屋

干葉県浦安市立美浜南小学校

(取材・文/有馬正史)

 

2000年2月19日、冬真っただ中の美浜南小学校の体育館に全校児童たちの驚きの声や歓声が響き渡った。開校20周年の記念行事の一つとて、浦安JC(青年会議所)の企画による「平成の寺子屋」が開かれていた。「平成の寺子屋」とは、高齢者が先生になって、児童たちに高齢者の持っている知恵や知識を、昔遊びなどを通じて楽しく学んでもらおうというもの。先生は、浦安市老人クラブ連合会の人たちで遊びの内容は、紙飛行機、割りばしてっぽう、けん玉、おはじき、お手玉作り、こま回し、かぶと(折り紙)、あやとりなど、現在はほとんど子供たちがしない遊びである。

「平成の寺子屋」を授業で行った寺前浄子(きよこ)先生に、実施したいきさつについて伺った。「この辺一体は、埋立地であり、地域としての関係が薄いところ。1年生の生活科の中で、子供たちに昔遊びやたこ揚げ、羽根つき、こま回しといった正月遊びを、高齢者とのふれあいの中で教えてもらうおもしろさを実感してほしい。そのために、近所の高齢者の方々に学校にお越し願えればと思っていた」。しかし、地域にはいくつかの老人会があり、どこに声をかけたらよいか不安があった。そんな時、PTAの運営委員から浦安JCが他校で実施した「平成の寺子屋」の話を聞いて、取り組みを始めたという。

「まず、99年12月4日に、1年生の生活科の学習として実施しました。大変、児童たちが喜んでくれたので、2回目は、学校行事の中でお願いすることにした」と寺前先生は語る。「平成の寺子屋」を実施するための準備は、PTAの運営委員、学級委員が中心になり、老人クラブ連合会の方たち等と数回の会合を持ちながら進めていったという。

 

 

 

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